遠心疑似力Ⅰ型(遠心疑似加速型)について
( 本 文 )
(1) 遠心疑似加速とは何か
(遠心疑似力Ⅰ型 図1)
遠心疑似力Ⅰ型(遠心疑似加速型)の分析の前提として、まずはこの「遠心疑似加速」という「概念」を明確にしたいと思います。
ここで、「地球」にもし「引力」が無かったら、という場合を想定してみます。
そしてそのうえで、図のように物体Aが、等速度vで地表Pから放たれたとします。
すると、地球に「引力」が「無い」との仮定ですから、その物体Aが「等速直線運動」をするはずです。この何の変哲もない、ごく当たり前のことが実は非常に重要です。
確かに地表上の点Pから見れば、その物体Aは「等速直線運動」をしています。
しかし、同じ地表上の地点Q1、Q2、Q3・・・から見れば、どうなのでしょうか?
その場合、地点Q1、Q2、Q3から見れば、物体Aは「上昇運動」をしているように見えますし、地点Q1、Q2、Q3からすれば、実際に物体Aは「上昇」しています。
しかもその「上昇速度」は、Q1よりQ2が大きく、Q2よりQ3が大きい、・・・。つまり各Q点からみて、その物体Aは、「加速上昇」しています。
この「加速上昇」運動は、何らかの「力」の発動の結果生じたものではありません。
単なる「等速直線運動」が、観測「地点」に違いによって、「加速上昇」運動と同様の「効果」を生じているだけのことです。したがって、この「加速」を「遠心疑似加速」と呼ぶこととします。
このように「遠心疑似加速」は、現実の「力」による現実の「加速」ではありませんが、現実の「効果」ではあります。したがって、この「遠心疑似加速」は「遠心疑似力」(遠心力)を考察する際の、「本質的な要素」となります。
ここで、この「遠心疑似加速」について、「地球」に即して考察する前に、まずは最も単純な形態での「遠心疑似加速」について、考察を進めて行きたいと思います。
具体的には宇宙空間において、半径10の球体Bを想定します。そして取りあえずその物体Bが生じる「引力」をゼロと想定します。そしてそのうえで、物体A上の1点から、物体Bの接線方向に、毎秒1の速度で物体Aが放たれるとします。
すると、毎秒毎の物体Aの位置は、下図のようになります。
下図の「赤色」の部分が、「遠心疑似加速」の「効果」を生じている部分です。
ここで、物体Aの軌跡(直線)上の任意の点をR点とします。
そして、R点からみて地表上の直近の地点をQとします。
そして、線分RPをxとし、線分RQをsとします。
そして、地球の半径をrとします。
するとピタゴラスの定理により、
x2+r2=(s+r)2 となります。
したがってs=√(x2+r2)-r となります。
ここで物体Aの速度をvとします。
するとx=v×t ですので
s=√(v2×t2+r2)-r ・・・①
ここで、物体Aの速度が秒速1とすると x=vt=v ・・・②
r=10 ・・・③ とし、②、を①に代入すると
s=√(x2+100)-10 ・・・④となります。
これをグラフにしてみますと、次の様なグラフとなります。
(遠心疑似力Ⅰ型 図2)
図で、赤色の曲線が「遠心疑似加速」を表す曲線です。青色は「参考」としてのただの直線です。
この赤色の曲線と、青色の直線とを比較すると、半径10を超える辺りまでは赤色の曲線は「放物線」に近い曲線ですが、半径19を超える辺りから「直線」に近くなっていくことが分かります。したがって、半径10を超える辺りまでは、「遠心疑似加速」の「効果」が強く表れていると見ることができます。
この「遠心疑似加速」が、「遠心疑似力Ⅰ型」(遠心疑似加速型)における「本質的要素」となるのですが、この「遠心疑似力Ⅰ型」(遠心疑似加速型)の分析に際しては、若干の「前提」が必要となります。
それは、「引力の回転」の影響があまり大きくない範囲にある、というのがその「前提」です
それでは、この「引力の回転」とは何でしょうか?
それを次に考察していきます。
(2) 「引力の回転」について
先ほどの「遠心疑似加速」の考察においては、取りあえず物体Bが生じる「引力」をゼロと想定しましたが、今度はこの物体Bに若干の「引力」が生じているものと想定します。
すると先ほどの物体Aが、先ほど同様にP点から放たれたとしても、今度は先ほどの様には、「直線」上を進めません。
何故ならば、物体Aは物体Bの「引力」によって、物体Aが「落下」するからです。
しかしそれだけではありません。
何故ならば、物体Aは「引力の回転」の影響を受けるからです。
図で説明すると次のようになります。
(遠心疑似力Ⅰ型 図3)
図で、U0、U1、U2、U3・・・は、それぞれの地点での「引力軸」を表しています。
むろん「引力軸」そのものは無数にありますが、ここでは考察の都合上、簡略に描いてあります。
ここで弱い引力の下で、物体AがP点から放たれたとします。
するとP点の引力軸U0から出発した物体Aは、引力線U1、U2、U3・・・を次々と横切って行きます。
するとその引力線を横切ろうとするたびに、物体Aに対する「引力線」の「傾き」が変わってきます。
ここで最初の引力線U0に対する、任意の引力線の「傾き」をθ(シータ)とし、その地点での「引力加速度」を「g」(ジー)とします。通常この「g」は「重力加速度」を表しています。しかしここでは、「引力加速度」-「遠心疑似力(接地型)」=「重力加速度」 を導くために、あえて「g」を「引力加速度」と表現します。なお、「引力加速度」の値は「万有引力の公式」から導くことができますが、ここでは考察の簡素化のために、各引力線における「g」の値(スカラー)は、全て同じ値であるものとします。
さてそうすると、
①物体Aが進むにつれ、引力線の傾きθが大きくなってきます。
これにより、以下の効果が生じます。
②x軸方向の引力は「gsinθ」となります。また、
③y軸方向の引力は「gcosθ」となります。
③の結果、物体Aには、進むにつれて「制動」が掛かります。その結果、物体Aは単に「落下」するだけではなく、前方に向かって「減速」しつつ「落下」することとなります。
この点が、通常の「放物線落下」とはやや異なるところとなります。
このように、「引力の回転」の影響を受けるとき、物体Aの運動は非常に複雑なものとなります。
なお、ここで「引力」のこのような作用を「引力の回転」呼ぶのは、次の図を見て頂くと明らかです。
物体Aがx軸の方向に移動していくにつれ、物体Aが「回転」していく様子が良く分かると思います。
すなわち、「物体Aにとって」、「引力」が「回転」しているのです。したがって、このような引力の作用を「引力の回転」と呼ぶこととします。
(遠心疑似力Ⅰ型 図4)
(3) 「遠心疑似力Ⅰ型」分析の諸前提について
以上の様に、「引力の回転」の影響までを考慮すると、物体Aの運動は非常に複雑となります。
しかしここで、「引力加速度」との関係で、この物体Aの「速度」が十分に小さければ、物体Aの運動は、この「引力の回転」の影響をあまり受けません。
何故ならば、十分に「低速」であるために、「引力の回転」の影響を受ける前に、地上に落下」してしまうからです。
したがってこのような場合には、「引力の回転」についてはあまり考慮しなくても良いこととなります。
こうした前提の上で、「地球」における、「遠心疑似力Ⅰ型」(遠心疑似加速型)について、分析を進めていきます。
まずは基本的なデータの確認です。
地球の半径は、
赤道半径が 6378.1km
極半径が 6356.8km
地球1回転時間が 23時間56分4秒(86164秒)
したがって、赤道における自転速度は 0.4651km/秒
地球の質量は 5.972×10の24乗 kg
万有引力定数Gは 6.674×10のマイナス11乗 m3kg-1s-2
したがって、赤道における「引力加速度」は 9.7976 m/s2
こうした前提の上で、地球の赤道における「遠心力」(正確には「遠心疑似力」)の値を求めて行きます。
なお、本論では「引力加速度」と「重力加速度」とを厳密に区別しています。
「引力加速度」は、「万有引力の公式」から導かれる文字通り「引力」による「加速度」です。これに対して「重力加速度」は、この「引力加速度」から「遠心力」(遠心疑似力)による作用の影響が含まれています。加えて「重力加速度」には、土地の「高低差」の影響、緯度の影響等、様々な作用の影響が含まれています。
このためこのままでは、「重力加速度」の分析が非常に煩雑になってしまい、「重力加速度」と「遠心力」(遠心疑似力)との本質的な関係が分からなくなってしまいます。
このことを回避し本質的な分析を進めるために、本論では、この「重力加速度」を「赤道」における「重力加速度」に限定します。また本論では、「引力加速度」から「遠心力」(遠心疑似力)の作用の影響を除去した値を「重力加速度」として取り扱うこととします。
また以後、「引力加速度」を「g」、「重力加速度」を「g´」、「遠心疑似加速度」を「a´」 と表記することとします。
(4) 「引力加速度」と「遠心疑似加速度」との関係
以上の前提の下で、まずは「引力加速度」と「遠心疑似加速度」との関係を分析していきます。
そのために、次の図を利用します。
(遠心疑似力Ⅰ型 図5)
この図で、緑色の矢印の方向に放たれた物体Aは、地球Bの「引力」によって「落下」を始めます。
ここでまず「前提」とされていることは、地球の引力による「引力の回転」の影響をあまり受けない、ということです。
そのため、物体Aは、「地球の中心」方向ではなく、y軸の下方へと「落下」します。
また「引力の回転」の影響をあまり受けないとの前提から、物体Aのx軸方向(水平方向)へと向かう速度は、減速しないものとします。
また「引力の回転」の影響をあまり受けないという前提から、y軸下方への「落下」についても、その「落下加速度」は減少しないこととなります。
以上の結果、時間tの間に、物体Aは水平方向にv×t進むことになります。
ここでそのvtを「x」(vt=x) とします。
他方、そのtの間に、物体Aは、加速度gで落下します。
ただし考察の都合上、このgはg=9.7976 ではなく、g=0.01 程度の引力加速度であるものとして、考察を進めます。
ここで物体Aの「落下距離」を「d」 とします。
すると d=1÷2×g×t×t となります。
また、この物体が、引力の影響が状態で等速直線運動をしたと仮定した場合の、その物体Aと地球との「距離」を、計算の簡便化のために、この場合は図での「s」とします。
この「s」は、「遠心疑似加速」によって広がって行く距離なので、「遠心疑似距離」呼ぶこととします。
次に、「弱い引力」の下で、物体Aが「落下」していく場合の、その物体Aと地球との「距離」を、計算の簡便化のため、この図での「h」とします。
これでようやく具体的な「計算」へと取り掛かることができます。
計算は1秒ごとに計算し、200秒まで計算することとします。
地球の自転速度は、毎秒465.1m
地球の赤道半径は、6738100m
ただし、考察の都合上、引力加速度gについては、
①g=0の場合
②g=0.1の場合
③g=0.2の場合
④g=0.34の場合(遠心力の公式 a=v2÷r により算出した値)
⑤g=9.7976の場合(この場合、あまり意味のないグラフとはなりますが、参考として計算します)
すると
遠心疑似距離 s、落下距離 d、地表までの距離 h は、次のグラフのようになります。
(遠心疑似力Ⅰ型 図6)
(遠心疑似力Ⅰ型 図7)
(遠心疑似力Ⅰ型 図8)
(遠心疑似力Ⅰ型 図9)
(遠心疑似力Ⅰ型 図10)
図6~図10から分かりますように、g=0,g=0.01、g=0.02では、物体A
は「空中」に存在します。
しかし、引力加速度gが大きくなるにつれて、物体Aは次第に地表に近づいて行きます。
そして、引力加速度g=3.34m/s2 となった場合において、ついに物体Aは、再び地表に接触することとなります。
g=9.7976の場合においては、当然ながら物体Aは空中に存在できないことがわかります。
(5) 「遠心疑似力Ⅰ型」成立のメカニズムとその本質
ここで特に重要なのは、g=0.034 の場合です。
この場合には、「遠心疑似距離s」と「落下距離d」とが「完全に一致」し、「地上までの距離h」がゼロ、すなわち物体Aが地表上もしくは地表すれすれの空中に存在することを示しています。
このことを逆に言えば、物体Aが地表上あるいは地表すれすれの空中に存在する場合は、引力加速度g=0.034の場合であり、この場合には「遠心疑似距離s」と「落下距離d」とが「完全に一致する」ということになります。
ここで、時間tの間に、「遠心疑似距離s」と「落下距離d」とが「完全に一致する」ということは、g=0.034の場合において、「遠心疑似加速度a´」が「引力加速度g」に等しい、すなわち「遠心疑似加速度a´」=「引力加速度g(=0.034)」ということになります。
ここに至ってようやくいわゆる「遠心力」(遠心疑似力Ⅰ型)の「成立のメカニズム」がしだいに見えてきました。
ここでこれまでの考察を整理し、さらに考察を加えていくと次のようになります。
①「直線」と「円」との「幾何学的な関係」により、「遠心疑似距離」が成立します。
②同じく「直線」と「円」との「幾何学的な関係」により、物体がその直線上を進もうとするとき、その「遠心疑似距離」は「加速度的」に増大していきます。
③これにより「遠心疑似加速」が成立します。ここでこの「遠心疑似加速度」を「a´」と表現します。
④ここでまず「弱い引力g」が作用するものとすると、この「弱い引力」の影響により、物体は次第に「落下」していきます。この「落下」運動も当然ながら「加速度運動」です。
⑤そしてこの「弱い引力g」がg=0.034m/s2 の場合において、「遠心疑似加速度a´」と「引力加速度g」とが、「完全に一致」します。
⑥これにより、「引力加速度g」がg=0.034の場合において、「遠心疑似加速度a´」と「引力加速度g」とが、「安定的に均衡」します。
⑦ここで「遠心疑似加速度a´」の「運動方向」は「上部方向」です。すなわち「遠心疑似加速度a´」の運動は「上昇」運動です。他方、「引力加速度g(a´)」の「運動方向」は「下部方向」です。すなわち「引力加速度g」の運動は「落下」運動です。
⑧ここで、この「遠心疑似加速度a´」による「上昇」運動と、「引力加速度g」による「落下」運動とが、g=0.034において、「円」の「円周上」すなわち「地球」の「地表上」で「均衡」します。
⑨すなわち、g=0.034において、その「引力加速度g」は、「全て」「落下」運動に費やされます。
⑩そしてこの時の「引力加速度g」を「引力加速度g(a´)」と表現すると、遠心疑似加速度a´=引力加速度g(a´)=0.034 となります。
⑪ここで、赤道上の「実際」の「引力加速度g」はg=9.7976m/s2 です。
この実際の「引力加速度g」を「引力加速度g(r)」と表現します。すると「引力加速度g(r)」=9.7976 となります。
⑫ここでこの「g(r)=9.7976」の引力加速度のうち、「g(a´)=0.034」の部分は、「全て」「落下」に費やされています。
⑬すると、この「g(r)」のうち、「g(a´)」を「除いた」部分が残ります。引力加速度のこの部分を「g(w)」と名付けます。
すると「 g(r)=g(a´)+g(w)」 となります。
※ この「g(w)」が、いわゆる「重力加速度」です。
⑭このことは、引力加速度g(r)が、引力加速度g(a´)と引力加速度g(w)との二つの部分に「分割」されたことを表しています。つまり「引力の分割」が生じたのです。
「引力の分割」については、補足的に別途考察することとします。
⑮それでは、このg(r)のうちg(a´)部分は、「落下」運動に費やされるとして、残りのg(w)はどうなったのでしょうか?
この残りの引力加速度g(w)は、「鉛直抗力」を誘引し、「鉛直抗力」は「重力」を発生させます。すなわち残りの引力加速度「g(w)」は、「重力」を生成するのに費やされます。
⑯ここで物体の質量を「m」とすると、物体によって生じる「引力」は物体の「質量」に作用されます。同様に物体によって生じる「重力」もその物体の「質量」に作用されます。
したがって、物体の質量をmとすると、
物体の「引力」は m×g(r)
物体の「重力」は m×g(w) となります。
ここで g(r)=g(a´)+g(w) であることから、
g(w)=g(r)-g(a´)
したがって g(w)<g(r)
したがって m×g(w)<m×g(r)
すなわち 重力<引力 となります。
すなわち、重力と引力との間に「差」が生じます。
⑰これにより、人間の「感覚」にとって、「重力=引力」なのに、そうならないのは、ほかに何らかの「力」が、引力と反対方向に働くせいだ、との「錯覚」が生じます。
そしてこの「何らかの力」を「遠心力」と名付けることとなります。
この結果
「引力」-「遠心力」=「重力」 という概念が生じます。
このように考えたとしても、「実務上」は問題なく、計算もそれなりの「答え」が与えられます。しかしながら、「本質論」においては、この場合における「遠心力」という概念は、それ自体「疑似的」な概念であり、「錯覚」であると言わざるを得ません。
⑱しからばこの「遠心疑似力Ⅰ型」(いわゆる遠心力」)の「本質」は何か、それは「落下」運動にあります。正確には、「遠心疑似加速」に基づく「特殊な落下」に「遠心疑似力Ⅰ型」(いわゆる「遠心力」)の「本質」があります。
(6) 引力の分割について
「引力の分割」というと、何やら難しそうですが、全くそんなことはありません。
これまでも、繰り返し考察してきたことの再確認にすぎません。
例えば、「引力の分割」が起こるのは、「斜面」を物体が「滑り落ちる」場合です。
この場合に、「引力」は、落下「運動」を生じる部分と、「重力」を生じる部分とに「分割」されます。具体的は、「引力加速度g」に対して、落下「運動」を生じる部分は「gsinθ」、「重力」を生じる部分は「gcosθ」と、引力は二つの部分に分割されます。
これは「エレベーター」が制動を掛けながらゆっくりと「落下」する場合も同様です。
また「水中」を物体が「浮力」の影響を受けながらゆっくりと「落下」する場合も同様です。
エレベーターがゆっくりと0.1g(ジー)の落下加速度で制動落下する場合、1g(ジー)の引力加速度のうち、0.1g(ジー)は「落下」に費やされ、残り0.9g(ジー)は、「重量」の生成に費やされます。
その結果、この制動落下エレベーター内に質量10kgの物体があるとするとの、この物体の「重量」は9㎏となるとともに、この物体はエレベーターとともに、0.1g(ジー)の落下加速度で落下していきます。
このように、「引力の分割」は、難しいものでも珍しいものでもなく、不断に生じている日常的な現象です。
(7) 遠心疑似加速度の簡易な計算について
とはいえ、日常の「実務」において、「遠心疑似力Ⅰ型」(いわゆる「遠心力」)の大きさを知ることは非常に重要です。このため、この「遠心疑似加速度a´」の「簡易な計算方法」について、検討します。
(遠心疑似力Ⅰ型 図11)
図において、黄色の線分RQをdとします(線分RQ=d)。
また地点Pから放たれた物体Aの速度をvとします。
地球の半径をrとします。
遠心疑似加速度をa´とします。
この疑似遠心加速度a´と、地表で均衡するときの重力加速度をg(a´)とします。
時間をtとします。
すると物体Aがt秒間に水平方向に運動する距離はvtとなります。
そのt秒間に物体Aが落下する距離は 1÷2×g(a´)×t2 となります。
するとピタゴラスの定理より
(vt)2+r2=(r+d)2 ・・・・① となります。
これを展開すると次のようになります。
v2t2+r2=r2+2rd+d2
したがって
v2t2=2dr+d2 ・・・②
ここで d=1÷2×g(a´)×t2 ・・・③ です。
この③を②に代入すると、
v2t2=2×1÷2×g(a´)×t2×r+(1÷2×g(a´)×t2)2 ・・・④
ここで④式の右辺の末尾の部分は tが微小の値の場合 「0」(ゼロ)へと収れんします。
したがって、④の近似式は次のとおりとなります。
v2t2=2×1÷2×g(a´)×t2×r ・・・⑤
⑤式より
v2=g(a´)×r ・・・⑥
ここでこれまでの考察の結果により、
g(a´)=a´ ・・・⑦
⑥式と⑦式とより
v2=a´×r ・・・⑧
故に
a´=v2÷r ・・・⑨
ここで、この⑦式はいわゆる「遠心力の公式」とされるものと、「解法」は完全に異なりますが、その結果の「公式」自体は一致します。
ちなみに、ここに具体的な数値を代入してみます。すると
a´=(地球の自転速度)2÷(地球の赤道半径)
=(465.1)2÷6378100 ※ただしメートル換算
=0.034
となり、これまでの考察と数値的にも完全に一致します。
以上により、いわゆる「遠心力」(遠心疑似加速低速型)についての考察は尽くされたので、次に「遠心疑似力Ⅱ型」(引力の回転型)についての、考察へと移ります。