(3)起引力と受引力

 

 ここで物体Aにはmの「質量」があります。質量の有る物体は「引力」を生じます。

 この物体Aが「引力を生じる力(能力)」を物体Aの「起引力」と命名します。

 

 他方物体BMの「質量」を有します。したがって、物体Bには、「引力によって引き付けられる力(能力)」があります。この物体Bが、「引力によって引き付けられる力(能力)」を、物体Bの「受引力」と命名します。

 

 すると

 

      物体Aの起引力=(G×m÷R) ・・・・・・④

 

 また

 物体Bの受引力=M ・・・   ・・・・・・⑤

   

となります。

 

 すると、式②、④、⑤より 

 

      F=物体Aの起引力×物体Bの受引力 ・・・・・⑥

 

 となります。

 

 ここでこの⑥式は、相対する二つの物体Aと物体Bについて、「物体Aを主体」、「物体Bを客体」として捉えた式です。

 したがって、ここに生じる万有引力をF(A)と表現します。

 すると⑥式より

 

     F(A)=物体Aの起引力×物体Bの受引力 ・・・・⑦

 

と表現することができます。

 

 ここで、③式において、「物体Bを主体」、「物体Aを客体」とした場合に生じる引力をF(B)と表現することとします。

 

 すると③式より

 

     F(B)=物体Bの起引力×物体Aの受引力 ・・・・⑧

 

という式が導かれます。

 

 ここで、⑦式も⑧式も、ともに①式を「変形」しただけの式です。

 

 したがって、F=F(A)F(B)   となる「はず」です。

 

 しかしそうは「なりません」。

 

 確かにF(A)F(B)とはその「値」は同じです。より正確には、「スカラー」としての「値」は「同じ」です。

 しかし、「引力」の「方向」までをも考えると、F(A)F(B)とでは、「真逆」なのです。

 したがって、「方向」を表す「正負記号」をつけるならば。

 

 F(A)=-FB) ・・・・・⑨

 

あるいは、同じことですが

 

 F(B)=-FA)  ・・・・・⑩ 

 

となります。